イヌメンZの知らないところで・・・
無事にオータ博士が送り込んできた追加システムを受け取り、
宇宙空間での作業を終えたイヌメンZは、極度の緊張を乗り越え、
ほっと一息ついていました。
操縦は自動運転に切り替え、大好きなアイスコーヒーを飲みながら
窓から見える銀河の美しさに言葉もありません。
(写真に撮って、地球で留守を守ってくれているタリーちゃんへ送ってあげよう。きっと一人で大変だろうし)
全ての仕事を秘書であるタリーに任せてきてしまった罪悪感からか、こんなことを思っているイヌメンZなのです。
「こんなに宇宙は美しいのか・・・。宇宙どころか、最近では仕事が忙しくてゆっくりと外の景色を見ることもなかったな」
これからぽちまりと一緒にいろいろなところに行こうと思っていた矢先のこの誘拐事件。
やはり早く、ぽちまりを探し出さないと・・・と思いを強めました。
こんなことを思っているイヌメンZですが、彼には見えていないものの、
一緒に旅しているおねえのりはずっとイヌメンZに寄り添っています。
「Zさま、きれいね」
おねえのりが頬を寄せます。
イヌメンZに一目惚れしたおねえのり。
まさに恋は盲目。
彼と一緒にいたい一心で、宇宙までついてきてしまったのですが、
彼女にとっては宇宙に来たという事実よりも、
『イヌメンZと二人きりで旅している』ということの方が重要な様子。
恋人であるぽちまりがいない間に、距離を詰めようと必死です。
そんなおねえのりの想いどころか、存在すら気づいていないイヌメンZは、
レーダーでバズーガ星の位置を確認すると、少し仮眠をとることにしました。
「このペースならまだ数時間かかるよね」
イヌメンZが椅子を倒して休もうとしたその時、おねえのりは窓の外に流星群を発見しました。
「あ! 流れ星!!」
興奮したおねえのりは窓に勢いよく体当たりしてしまい、気づけばロケットの外に飛び出してしまいました。
「ぜ、Zさま、助けて!!」
おねえのりは一体どうなってしまうのでしょうか?
もちろんこの声は、イヌメンZには届かなかったのでした。
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